掌の上で踊らされているのだよ

昨日、知人数人と夕飯を食べに行った。
そのうちの一人の方は普段パキスタンに駐在されているが、
たまたま現在アフガニスタンに出張されていて
同席相成った。
その方からパキスタンの昨今の政情や国情全般に関する
様々な興味深い話を聞かせてもらったのだが、
一つ印象的だったのが、
現在の混沌とした政情はある意味、
すべて筋書き通り演じられているに過ぎない、
つまりグランドデザインが既にあって
色々表面上事件が起こりはするが
結局はそのデザイン通りに物事が進んでいる、
という分析、見立てであった。
表面上は反目したりしても
やはり彼らは裏でウインクし合っているんだなあと
改めて得心したのだが、
後でふと、口の悪い同僚が以前話していた
パキスタンのある一面をうまいこと言い当てている(と思しき)
小咄を思い出した。
ちょっとここに書きとめておこう。

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処は某国、ここで警察に関する国際会議が開かれた。
各国の警察を代表して警察庁・警視庁長官の歴々が集った。


各国の代表はそれぞれの警察システムの名誉にかけて
お国の警察がいかに優れているかを高らかに謳い上げた。
口火を切ったのはイギリス。


「我が国の警察Scotland Yardが優秀な人材に恵まれ、
優れたシステムを構築してきたことは世界的にも夙に知られた事実である。
仮に凶悪な事件が起こったとしても、
我々は72時間以内に必ず犯人を逮捕するだけの自信がある!」


それを聞いて対抗意識をメラメラと燃やしたのは海を挟んだお隣フランス。


「我が国の警察は近年、情報収集システムを抜本的に改善させ、
犯罪対策へのポジティブな効果が顕著に見られるのは
賢明なる皆様は既にご存知だと思う。
仮に凶悪な事件が起こったとしても、
我々は48時間以内に必ず犯人を逮捕するだけの自信がある!」


それを聞いた他の先進国の代表もそれに勝らんと、
「我が国ならば36時間以内に!」
「いや、我が国は24時間以内に!」
「我が国は18時間以内も可能である!」
とビューティーコンテストが繰り広げられた。


それら議論のほとぼりが漸く収まりかけた頃、ゆっくりとした風情で起立した代表がいた。パキスタンの警察長官である。


「我が国は残念ながらこれまでスピーチをされた先進国のように、
経済的余裕があるわけでもなく、
人材に恵まれているわけでもなく、
またシステムもまだまだ改善の余地がある。


しかしこれだけは言わせて貰いたい。
仮に凶悪な事件が起こるとしたら、
我が国はその犯人を見つけることができる!
それも事件の48時間前に!」