「緊急」支援

今日から急に春めいた陽気になってきました。
桜が恋しくなる季節です。
もう日本ではところどころで咲き始めているのでしょうか。


ところで、ちょうど昨日ブログでも書いたけれど、
今年は降雪・降雨が多かったせいで
この冬明け時期、雪崩や鉄砲水などの被害が
全国的に増えているらしい。
雨雪は降らなければ降らないで
農業・生活用水の不足という問題に撥ね返ってくるのだけれど、
降ったら降ったでこれまた大きな問題になる。
日本ではダムや護岸整備などのインフラ整備をがんがんしまくって
逆にやりすぎて景観破壊などの問題が起きているけれど、
ここにいると治水ということも含めて
日本では当たり前のように存在しているインフラ整備というものが
いかに人々の生活の安全やアメニティーにとって大切な要素かを痛感する。


で、これまた降って湧いてきたようにイレギュラーな仕事が舞い込んできた。
今の職場というのはアフガンの一省庁なのだけれど、
その省庁が他省庁や国際機関・NGOなどと連携して
西部・南部で発生した雪崩・鉄砲水被害に対して緊急支援を行うという。
それを少し手伝ってほしいと。
あらまぁなんという偶然。
で早速、緊急支援を担当する部署に出向いて
どんなことを手伝えばよいのか
ヒアリングを開始。
なんせ数十人が死傷したり
それ以上の人々が家を追われたりしていると報道されていたので、
事態はかなり急を要するのだろうとそれなりに気合を入れて
担当者(アフガン人のシニアマネジャー)との面談を始めた。


担「あ、どうもどうも。手伝いに来てくれてありがとね。」
私「で、事態はどんな状況なんです?」
担「鉄砲水なんかで被害が出ていて、人々が避難しているらしい。
でもまだ詳しいことよくわかんないんだよね」
私「どんなことを手伝えばいいですか。
一応緊急アピールの作成を手伝うのではとボスからちらっと聞いてはいるんですが」
担「そうなんだ、それを手伝ってほしい」
私「緊急ということで一気に仕上げないといけませんね。短期決戦ですね」
担「まぁそうあせらないで(私、え?緊急じゃないの?)。
次の日曜日にドナー会議があるからそれまでに被害状況を調べて
しっかりしたアピールを作る必要がある。結構大変だぞー」
私「そうですか。日曜日ということは今週末中にでもまとめる必要が、、、」
担「いや、日曜日というのはその数日後の日曜じゃない、
その次の日曜だ」
私「へ、再来週?」
担「うん、そう、再来週」
私「(緊急なんじゃないの??)」


アフガン人の時間の流れ方は常に悠久です。
アフガン人があせって走っているところを見たことありません。
アフガニスタン5000年(?)の悠久の歴史・苦難の歴史に比すれば
鉄砲水の被害くらいどうってことありません。
まぁもちろんこの省庁が動く以前から
現地の国際治安支援部隊ISAF)が出動して
緊急支援はすでに始まりつつあるのですが、
それにしてもニーズをこれからしっかり把握して
ドナー会議を行って支援を募って
どれくらい支援していただけるか把握をして
必要なnon-food itemをどこで入手できるか探し出して
それを調達して
運送して
現地の受け入れ態勢をコーディネートして
ちゃんと必要としている人々に届くように調整して
さらには二次被害を食い止めるための護岸工事を行うための準備もして
そんでもってそれにはもっと念入りな準備が必要で
支援中・支援後はモニタリングしたり
ちゃんと期待する成果が挙がったかを確認したりする必要もあったり
この調子でばっちり準備すれば
多分再来年の鉄砲水被害のときには間に合うんじゃないかな。


なーんてことを頭で(全部ではないけれど)思い浮かべながら
一気に手伝うモティベーションを私は下げていったのでした。