弾薬回収作業(3)

弾薬回収作業はカナダ等が資金提供し、
アフガン政府によって主導されるプロジェクトである。
実地作業は国防省の担当者が監督し、
私には円滑な業務遂行とアフガン政府への報告義務がある。


具体的に課せられている私の業務は、
1.弾薬の格納場所(隠し場所)と所有者を明らかにし、
2.交渉を通じて引渡しに合意してもらい、
3.弾薬の種類、量、状態、ロケーションの状況、などを判定し、
4.使用可能な弾薬は各地の弾薬集積所(アフガン新国軍が管理)に移送し、
使用不能な弾薬は適切に破壊処分すること
などである。


私の仕事をもう少しイメージしやすく表現すると、
建設現場や工事現場の現場監督に近いのかもしれない。
とりわけ上記の段階4では、多くの労働者を雇い、トラックのコンボイを指揮し、
彼らの安全をチェックする仕事ぶりはさながら現場監督そのものである。


しかし、インターナショナルスタッフとしての私に期待される役割は、
主に段階1と2に重きが置かれていると認識している。
地域の代表者である知事や村長、
そして弾薬を保持していると思われるコマンダー等と面会するときに、
その「異人」ぶりが役に立つことが多い。
同じアフガン人から説得を受けても、それを見下したり、
つい馴れ合いが生じたりということは往々にして起きる。
しかし、日本がアメリカの「ガイアツ」に弱いが如く、
アフガン人は外国人である私などの発言に、
一応は聞く耳を持ってくれることが多い
(もちろん簡単に説得に応じてくれるわけではないが)。


とはいえ、私のキャパシティーには限界がある。
やはり地域の有力者、とりわけ州知事や副知事、警察等
のイニシアティブが欠けていると、
この弾薬回収作業の進展はおぼつかない。
いかに彼らに能動的に関わってもらえるか、
それを促すのも私の仕事と言えるだろう。