教育支援に一案

内戦による荒廃、タリバンや保守層による女子教育の弾圧などで
浴びたくもない注目を集めた観のあるアフガニスタンの教育事情であるが、
国際支援を受けながら、地道ながらも国全体で
初等・中等教育が実施・拡充されつつある。


それでも一部地域では女子教育への地元の支援が受けにくかったり、
もっとひどい例では校舎が焼き討ちにあったり、
ロケットを打ち込まれて児童が殺されたり、
本当に想像を絶するような状況の中で教育に携わる人々がおり、
そんな話を聞くと人々の教育に対する熱意に頭の下がる思いがする。


私は教育や教育支援の専門家でもないので、
ここで詳細について開陳できるわけではないのだが、
一つ思いついたことがあるので、ここに書き留めておきたい。


カブールでエリート校と呼ばれる高校がある。
そこはフランスやドイツの教育メソッドや資本が導入された高校で、
すべての授業ではないのかもしれないが、フランス語やドイツ語で授業を受け、
優秀者はフランスやドイツに留学することもできるという。


一度高校生らしきアフガン人が私に近づいてきて、
あなたはフランス語が話せるかと英語で聞いてきたので話せないと答えると、
小ばかにしたような表情を向けられた!


そんな私の体験談はさておき、彼らは国を背負うエリートとして、
フランスやドイツへの愛着も持ちつつ、
国をひっぱっていくのだろう。


その他、トルコ系の類似の高校も運営されており、
また今年からカブールにはアメリカン大学が開設されるとのことで、
優秀な者を囲い込み育成し、自分の国のファンになってもらうという方法は、
各国が競って行っていることである。


で、日本の教育支援に対する私の提言なのだが、
初等・中等教育を拡充すべく、校舎建設を手広く支援するという
現在の人道支援のような教育支援も大事なあり方であるが、
それと平行して、上記のような高等教育を日本資本・メソッドで実施してはどうだろう。
エリート層の中に日本に対するattachmentを育むことは、
二国間関係を骨太で腰を据えた友好関係にするだろう。


日本に対する一般のアフガン人の好意的な感情は、
他国に比して図抜けている。
二国間関係に関する人々の理解内容が如何に浅薄であり時に間違っていても、
日本人にとってその好意の眼差しは本当にありがたく、貴重な財産である。
しかしそれは日本に対する羨望のようなイメージの域を出ていない気がする。
つまり本当に広く深く日本のことが知られているわけではない。
エリート層に日本のさまざまな側面を知ってもらうことは、
アフガン全体で日本理解を実質的に深めてもらうための
波及効果も期待できる。


現在も日本政府はアフガン人への日本留学奨学制度を実施しているが、
それをアフガニスタンの地で大々的に行ってはどうだろうという提唱である。
いわば札幌農学校のクラーク先生のアフガン版ですな。
国家百年の大計は教育にあり。
そんな試みを日本政府、経済界、教育界の中で推進してみたいと思っている方、
いらっしゃらないでしょうか。