手打ちの時?

もう少し頻度を上げて更新したいと常に思いつつ、
些事についついかまけておりました。


イラクレバノン、イランの報道の嵐の陰で、
アフガニスタンの一部では日々紛争のテンションが高まっている。
少なくとも南部・南東部では戦闘行為による死傷者が
一般人も含めて二桁を超える日がざらにある。
その他自爆テロ、簡易爆弾による攻撃、誘拐、etc.
陰惨なニュースを聞かない日は残念ながらほとんどない。


2001年にアメリカがアルカイーダ、タリバン掃討と称して侵攻を始めた後、
NATOを中心とした駐留軍(ISAF)が平和維持活動に努め、
様々なセクターが相当量の物資と人材が投入して復興支援にしのぎを削り、
大統領選挙、総選挙はほぼ平和裏に実施され、
これら表層だけを見たら、ブッシュ大統領がアフガンを民主化支援の成功例、
自画自賛したくなるのも分からんでもない。


が、実際にはカルザイ大統領の求心力は依然磐石とは言いがたく、
大量の開発支援がそれなりに人々に感謝されつつも、
いわゆるタリバン等の反政府活動を活発化させている層には
紛争再発の予防策として必ずしも有効に機能しているわけでもない。


武力紛争の絶えない地域では積極的・間接的にタリバンをサポートする者もあれば、
ついつい定職にありつけない状況から逃れるために
短期的視野に陥ってタリバンの手先となって日銭を稼ぐ、
(国軍兵士の二倍の給与というデータもある)
という場当たり的な支援者もおり、
また昼は政府、夜はタリバンと、双方に媚を売らざるを得ない者、
タリバン以外の反政府活動に参加する者
ISAFによると、実はこのカテゴリーが相当多い)
等々、潜在的に敵愾心を持つものも含めると、
戦闘行為の対象者の姿はおぼろげになる。
こうなると連合軍・ISAF・国軍・警察は敵の姿が更に見えにくくなって、
紛争の悪循環を断ち切ることが俄然難しくなる。


このように紛争泥沼化のヘドロ臭が少しずつ漂いつつも、
武力による事態の打破に大きく賭けざるを得ない現行のやり方は、
早晩破綻を来たしてもおかしくはない。


仮に更なる大規模な軍隊をアメリカや欧州が投入すれば、
また少し事態が変わるかもしれないが、
長期的に見ると、それも賢明な解決策とは思えない。


個人的な意見ではあるが、
パレスチナにおけるハマス政権の誕生を
アメリカ・イスラエルが事実上許したが如く、
アフガニスタンでもタリバンに対して、
いずれなんらかの手打ちが必要になってくるのではと思っている。
それをサポートする意見も一部にはある。


Time to talk to the Taliban?


実際には以前よりタリバンとの和解・投降の呼びかけが
アフガン政府によって実施されているが、
大きな成果を挙げたと呼ぶには程遠い状況が続いている。


タリバンへの国外からの資金提供と、
麻薬栽培・密輸を通じた収入が続く限り、
今のタリバンの抵抗力は削がれるどころか、強まる可能性すらある。


アメリカの侵攻から5年、
事態が一向に良くならない閉塞感・倦怠感が色濃く漂う今こそ、
変化球が必要だと思う。