ある司令官たちの最期

先日のエントリーでDadullahというタリバンコマンダー死亡の報をお伝えした。
ただ、彼は一体どのようにしてその最期を迎えたのか、
つまりどうやってISAF側がDadullahの居場所を掴み得たのか
私は疑問に思っていた。
その後のある報道では
タリバン内の裏切り者によるISAFへの密告が原因であり、
その裏切り者は内部粛清されたという。
これはこれで信憑性がありそうな話なんだけれど、
昨日別の見方を報じる記事を見つけた。


The Times & The Sunday Times


このSunday Timesの記事によると、事はより複雑なようだ。
ISAF側によるDadullahへのこの最後の軍事作戦が実施される以前
タリバンに誘拐されたイタリア人ジャーナリストと
アフガン政府が捕らえていたタリバン要員との間で人質交換をするという
Controversialな出来事があったのだが、
まさにDadullahの兄弟(弟?)がタリバン要員交換対象者だった。
そしてこのDadullahの兄弟(弟?)の電話の電波が追跡されて
Dadullahの居場所に繋がり、動きが捕捉されたという。
イギリス軍の中にもそのような特殊任務を担う部隊が存在することが
これで明るみになったともいえる。
これら一連の作戦を見ていると
まるで軍事スパイ小説の粗筋でも読んでいるかのような錯覚を覚える。
ここアフガニスタンの戦闘もIT戦の様相を呈しているのだ。


私はたまたま別の記事で、
DadullahはOutspokenでメディアへの露出や電話でのインタビューなども
臆することなく引き受けていた、という記述を目にしたとき、
ひょっとすると彼の殺害の引き金となったのは電話だったのではと訝しんだ。
チェチェンのドゥダーエフ大統領が96年にミサイル弾で暗殺された際、
大統領の居場所を突き止めるのに利用されたのが
彼が使用していた衛星電話の電波だったという噂は
知る人ぞ知るエピソードであるが、
ふとその話を思い出して
Dadullahも自身の電話を傍受されたか電波を探知されて
あのような結末に至ったのではと思ったのである。


このSunday Timesの記事が妥当なものであるという留保の上での話ではあるけれど、
彼自身の電話ではなかったとはいえ、
電話という便利この上ない利器が
彼の首を最終的に絞めることになったのは
何とも皮肉な話ではある。